『リコリス・リコイル』最終話考察 ※ネタバレ含みます
花火バーン!吉松バーン!千束捕獲!!あろーはー。fin・・・。
いや待て待て!心臓は結局どこにあったの!?バースデーカードやペンダントの意図は!?ミカの足は!?
と、ある種「ご想像にお任せしますEND」を迎えたリコリコ。あえて真実を明らかにしない最終回となりました。
こちらの考察パート記事では、最終回の謎多き描写たちに対して、筆者のはたが考察を展開していきます。解釈不一致の部分もあるかと思いますが、「一ファンが早口で語ってるなあ」と温かい目で見てくださると幸いです。
また、最終回終えての作品に対する感想や総評は別記事にて語っておりますので、そちらも合わせて読んで気持ちを共有していただけたらと思います!
↓最終回の総評を語った感想記事↓
心臓は吉松の胸の中に
前提として、「吉松の胸の中説」と「スーツケースの中説」はどちらも根拠となる材料がありますが、その上で、私は「心臓は吉松の胸の中説」を推します。
※「スーツケースの中説」も十分に考えられます。結論は完全に出せないように描かれていると思います。
吉松シンジという男
吉松という人物の思考から行動を読み取ってみます。私の思う吉松の本心は、
①「アラン機関の思想の元、才能を世界に届けたい」
②「千束を実の娘のように想っている」
です。この二つの気持ちはどちらも本物だと考えます。
①は言わずもがな、②が嘘ではない根拠はいくつかあります。例えば、5話で影武者である松下から出た「娘がいたら一緒に観光したい」発言や、9話のミカの回想で「私たちの娘じゃないか」発言があるので、これらは素直に受け止めるべきかと思いました。
しかし、最大の根拠は12話の会話。吉松「君のためなんだ、なぜ分からない」千束「世界のためなんでしょ」吉松「同じことだ」の部分から、吉松が「アラン機関の示す生き方=幸せな生き方」と信じていると考えられます。もしくはアラン機関の洗脳によってそう信じ込まされているか。いずれにせよ千束の殺しは「世界のため」であり「千束のため」なんです。ミカが取り除いた、吉松から千束宛の手紙に書いてあった通りです。
もう一つ考えられる可能性としては、「アランチルドレンが才能を世界に届けない場合は、アラン機関によって消される」から「君のためだ」と告げたとも考えられます。5話の終盤で松下を通して放たれた「アラン機関は君を・・・その命を・・・」という発言。この後に続く言葉は明るいものとは思えません。もしそうなら、吉松が松下やロボ太、真島や姫蒲を使ってあの手この手で千束に殺しをさせようとしたのは、彼女の命を案じて焦っていたからではないでしょうか。
話は逸れましたが、これらの描写から、吉松は本心で千束を大切に想っていた上で、殺しをさせたかったのだと思います。そして、その最終手段が「心臓は殺して手に入れろ」作戦です。であれば、心臓は本当に自分の中にあったと考える方が自然だと思います。
ミカとの最後の会話
ここに触れないわけにはいきません。この会話の一番の見どころは「嘘つきなミカ」と「嘘を言わないシンジ」の対比です。
これを素直に受け取るのであれば、吉松の今までの「千束を娘だと思っている」発言も「心臓は胸の中にある」発言も真であり、後のミカの「心臓はスーツケースにあった」発言は偽と考えられます。
会話の内容にも言及していきます。吉松の「分かってもらえなかったよ」は、「アラン機関の思想」のことではなく、「吉松が千束を大切に想っている」ことの方に対してだと思いました。「私はもういらないみたいだ」からもこのことが伺えます。
「彼らの選択を邪魔してはいけない」というミカに対して「つまりここでお別れか」という吉松は、千束の邪魔をしている自分の存在は、千束のために消えるべきだと自覚していたのでしょう。
最後に、ミカが嘘つきということに関してですが、吉松を撃つ直前の悲痛な表情と銃口の震えは、どうしても嘘の演技に見えませんでした。ミカが嘘をつく理由は、いつだって大切な人物を悲しませないためです。あの涙は彼の本心だと、そう信じたいです。
吉松は死んだのか
これについては、心臓の在処に関わらず十中八九死んだと思います。
まず、心臓が吉松の胸の中にあった場合、それを取り出すためには殺さざるを得ません。仮に、心臓がスーツケースに入っていた場合でも、上記でお話しした通りミカと吉松はどちらが千束を幸せにできる親なのかハッキリさせたわけですから、ミカが吉松を撃つ理由足りえます。
では、吉松生存ルートは無いのかについてですが、私はあると思います。それは「アラン機関のシンジは死んだ」パターンです。
アニメなどで度々使われる、「相手の頭の横を撃って『これで~〇〇としてのお前は死んだ』展開」のことです。ミカはやはり吉松のことが撃てず、わざと狙いを外して発砲。そして「今の一発でアラン機関のシンジは死んだ。これからは千束の選択を尊重しろ」的な展開があってもいいと私は思います。ただ可能性はかなり低いだろうし、ちゃんと死んでいた方が物語としては綺麗ですよね・・・。
矛盾点
心臓が吉松の胸の中にあることで、生じてしまう矛盾についても話していきましょう。矛盾点に対する一応の説明も交えて、箇条書きで上げていきます。
「人工心臓が誰にでも適応する代物ではない点」
→幼少期の千束に移植した時からアラン機関の技術が進歩していたから?
「千束は2度の手術で傷跡が無いのに対して、吉松にはあからさまな傷跡が残っている点」
→千束の1回目の傷は成長過程で消え、二回目の手術は医療技術の進歩のおかげ。吉松は千束に早く使命を果たさせるために急いで粗治療になったからか・・・ちょっと無理がありすぎますね。
「ミカが吉松から心臓を抜き取った方法が謎なことと、そのスピードが早すぎる点」
→くるみが執刀医を見つけて依頼ができたことから、心臓の製造はともかく手術自体は正規の病院でもできる説。ただし、千束の手術が真島との戦いのすぐ後なら、吉松から心臓を取り出してる暇は無いですね。
「12話で吉松が千束の銃を自分の胸に当てたように見えた点」
→銃を持つ手を頭に持っていく途中に千束ビンタを食らったか、横っ腹を撃たれたせいで腕が上がらなかったか。しかし、このシーンだけ見た当時は「心臓はスーツケースの中じゃん」と思いましたねw
「なぜ空のスーツケースを持ち歩いていた?」
→一応スーツケースを持っていることで、くるみに探知させて「ちさたき」を自分の元へ向かわせるように仕向けた説が言えますが、スーツケースに心臓を入れていたから説の方が自然でしょう。
ミカの嘘と真意
術後、千束に届けられた小さな箱には手紙の表紙とアランペンダントが入っており、手紙の中身はミカによって取り除かれていました。この辺りから考えられるミカと吉松の考えを紐解いていきます。
取り除かれた手紙
手紙を捨てたのはミカですが、その意図とは何でしょうか。吉松から千束に向けた「君の幸せを心より願う」の文字を、ミカは千束に届けなかった理由。それは「吉松が死んだことを周囲に隠しているから」だと考えるのが妥当でしょう。
手紙の内容は「私の死によって君の新たな人生が始まる」というもので、自分が殺されることが前提で書かれたメッセージなのです。このメッセージを読めば、吉松が本当に自身の胸の中に心臓を埋め込んでいて、「ミカが吉松を殺して得た心臓で生かされた」という事実に千束が深く傷つけられたはずです。
そう考えると、宮古島にて千束が「普通入れないよね?」とたきなに聞いたのは、「心臓を自身に入れてるわけない=吉松が死んでるわけない」と自分に言い聞かせているようにも聞こえます。ミカからは「吉松は行方を眩ませた」とでも伝えられたのかもしれません。
取り除かれなかったアランペンダント
初めに、箱に入っていたペンダントは千束が返却したものではなく、吉松があらかじめ用意していた2つ目の物です。理由は、吉松のプランが「千束に殺されて、その後にペンダントと手紙が入った小箱を発見させる」なので、新しいペンダントを用意していたはずなのと、千束が返却したペンダントは直前に千束が引きちぎってチェーンを壊しているからです。
では、なぜペンダントは手紙と一緒にミカによって取り除かれなかったのか。ミカの考えからすると、アランの呪縛から千束を開放するべきという考え方から、ペンダントを処分するはずですが・・・。
その答えは、ミカが「千束に吉松の気持ちを理解して欲しかったから」だと思います。千束は吉松を最後まで信じていたので、心臓は吉松の中にある発言は信じませんでした。しかし、ペンダントを返却されたことで、吉松の本心は最後まで本人に理解してもらえなかったと、ミカと吉松は思ったはずです。
今まで吉松が行ってきた行為は全て千束を想ってのことで、アランや世界のために利用しようとしていたわけでは無いことを千束に伝えたかった。千束を突き放すために吐いた数々の辛辣な言葉も、「アランの決めた生き方=千束の幸せな生き方」だと本気で思っていたからだということを千束に分かって欲しかった。そのために、あえてペンダントを入れたままにした。これがミカの気持ちであり、吉松への愛情の現れだと思います。
ミカが足の状態を偽装する意味
ミカは今まで、周囲に足が悪い演技をしていたことが最終話で明かされていました。なぜ隠す理由があったのか。
それは、千束をDAから引き離し続けるためではないでしょうか。脚の負傷によってDAの指導者としての任から逃れて、千束と共に喫茶リコリコへ移った。ということであれば、足が治った、もしくは最初から無事だったことが知られれば、DAへの復帰を余儀なくされる可能性が高いです。
↑ミカが杖を使い始めたタイミングは、サイレント・ジンと一緒にいた15年前よりも後で、且つ、吉松と幼少期の千束を観ていた時よりも前でした。よって、DAに入る際に偽装し始めたか、DAで活動中に足を負傷したかの2択でしょう。もし前者であれば、ミカの足の偽装と千束は関係ないことになります。
加えて、千束延命後も周囲に足が悪いフェイクをし続けている理由は、やはり自分が吉松を殺したことを悟らせないようにするためでしょう。足を負傷したミカが姫蒲を退けた上で吉松を殺せるとは誰も思わないはずです。アリバイというわけですね。
くるみにバレていたのは、過去の事故歴などの情報を探られたか、飛行機で人工心臓を見つけ出した時のように骨格を見て気づいたのか・・・。
番外編
例の聴き取れない千束のセリフ
真島との最後の戦闘中、携帯を拾おうとして真島に撃たれた時のセリフが、バックで流れるOPで聴き取れないという事故が起きました。ネットでは様々な「〇〇は一つで十分なんだよ」説が浮上していましたが、正解は「ポンコツは一つで十分なんだよ」だと字幕で判明しました。
ではポンコツとは何のことを指しているのでしょうか。これまた様々な意見がありますが、私は「ポンコツ=旧電波塔」説にベットしようと思います。
旧電波塔は今なお平和のシンボルとしてそのままの状態で残されているので、延空木まで爆破されて同じ道を辿る必要はない明けです。
加えて、今回はリコリスの存在が真島によって公表された後なので、延空木の爆発を見て「実は電波塔事件も、リコリスという存在によって解決された事件だったのではないか」という疑念が日本中に広がる恐れがあります。そうなると、今後リコリスが動きにくくなり、今まで保たれていた平和が崩れてしまう可能性が高いと考えられます。
なので、「ポンコツ(電波塔事件のような展開)は一つ(一度きり)で十分なんだよ」と発言したのだと思います。
未回収伏線
これはたくさんあるので、ざっと上げていきましょう。
まずはメインキャラクターの謎。千束やたきなといったリコリスの出世、くるみの実年齢及び容姿の謎、DA情報部時代のミズキ。
組織的な部分だと、アラン機関の全貌・真の目的、アラン機関とDAの関係、リコリスとリリベルに並ぶ第三の組織「花葵」とは、ファーストリリベルの男の正体など。
真島関連だと、ばらまかれた拳銃の残り半数の行方、真島の現在の行動・目的、ロボ太の素顔など。
細かく探せばもっとたくさんあるかと思います。これらは、いずれやる2期で回収されると信じたいですね。
最後に
いかがでしたか。納得できるものも納得いかないものもあったかと思います。
ここまで考察してきてなんですが、ぶっちゃけると考察の正誤はそこまで重要ではないと思っています。
それよりも、ここまで深掘りできる展開を最後に用意して、そのヒントをしっかりと随所に散りばめていた一連のストーリーが素晴らしかったということが言いたかったわけです。毎話次回が気になりすぎる話の作りに、久しぶりにどハマりさせてもらいました。
改めてこの考察記事を書いていたらリコリコロスが激しくなってきたので、もう一周観てこようと思います。同じくリコリコロスの方々はアニメを観返すか、私が上げる最終話の感想記事で思い出してもらえればと思います。
それではまた次回お会いしましょう。
同ブログでイラストと編集を担当。
BGMに力が入ったゲームが好き。神心会100万人の門下生のひとり。
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